保険金受取人を複数人にする時の注意点
保険金の受取人を複数人へと変更する際の手続きとその注意点をご案内します。
事例紹介
相続対策を踏まえ、自分がかけている生命保険の見直しをしています。
妻が受取人となっている契約があり、自分に何かあった時に子供たちが平等に受け取れるよう、
受取人を長男と次男へ変更しようと考えています。
保険金の受取人を複数人指定することはできるのでしょうか?
ワンポイントアドバイス
生命保険金の受取人は契約後でも、被保険者の同意の上、変更することができます。
この場合、受取人は複数人指定することができますので、必ず渡したい人を受取人に指定しておきましょう。
被相続人が保険料負担者(契約者)であった生命保険契約の死亡保険金は相続税の課税対象とされています。また、相続人が受け取る死亡保険金については、500万円×法宇定相続人の数に相当する金額は、相続税が課税されないことになっています。
このため、生命保険金以外に十分な金融資産を遺せる場合には、配偶者に実物財産である預金や株式等を相続させ、子が死亡保険金を受け取るようにしておけば、次世代に非課税で財産を移転できるため、二次相続(配偶者の相続)における税負担が軽減される場合があります。
詳細解説
多くの契約で、保険金の受取人を複数人指定することは可能です。
また、加入後、保険金等の受け取りが発生する前であれば、契約の途中でも受取人を変更することができます。
なお、保険金の受取人を変更する場合には、被保険者の同意が必要です。
受取人を複数人にする場合のポイントは、以下の通りです。
1.複数人の場合、渡す割合も指定
保険金受取人を複数人にする場合、受取人ごとに割合を決め、合計100%となるように指定します。
(今回の場合)
変更前の受取人:妻(配偶者)100%
変更後の受取人:長男50%、次男50%
2.複数人で受け取る場合の手続き
保険金を複数人で受け取る場合、以下のような受け取り方法が考えられます。
①代表者が保険金全額を受け取る
②受取人それぞれが保険金を受け取る
①の手続きの流れ
・ 受取人の中から代表者を決める
・ 他の受取人は、代表者を了承する書面に署名、押印手続きに必要な書類一式を、保険会社に提出(一般的に受取人全員の印鑑証明書を添
付する)
・ 保険会社から代表者の口座へ保険金が支払われる
・ 代表者が、受取割合に応じて、他の受取人へ配分する
保険会社は、受取人の代表者に保険金を支払った後は契約の割合通りに他の受取人に配分されたかどうかまで確認はしません。
よって、①の場合、契約通りの割合で受け取れるよう、受取人同士で資金の移動まで確実に行う必要があります。
3.注意点
受取人の変更をせずに、いったん保険金を妻(配偶者)が受け取り、それを半分ずつ長男、次男に渡した場合、妻(配偶者)から子二人に現金を増与したことになり、贈与税の課税対象となります。
受け取った生命保険の保険金は、受取人固有の財産となるため、遺産分割協議で分けることはできません。
そのため、必ず保険契約上で渡したい人を受取人に指定しておきましょう。
なお、保険会社や契約により、保険金受取人に指定できる範囲、指定方法、請求手続きは異なります。
手続きの詳細は、ご契約の保険会社に直接お問合せ下さい。