貸付事業用の宅地について
特例の概要
相続・遺贈によって得た貸付事業用宅地は、最大200㎡(限度面積)まで減額できる制度です。
「貸付事業用」とは、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます。
減額割合は50%です!
例えば、貸付事業用宅地の面積が200㎡、評価額が3,000万円の土地の場合、相続税の課税対象額が50%減額され、1,500万円となります。
特例を受けるための要件
特例を受けるための要件は、その宅地等がどのように使われていて、誰がそれを取得するかによって変わってきます。
1.被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等
事業承継要件 | ・被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぐこと ・申告期限までその貸付事業を営んでいること |
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保有継続要件 | ・その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること |
2.被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等
事業承継要件 | ・相続税の申告期限まで、その宅地等で事業を営んでいること |
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保有継続要件 | ・その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること |
「3年以内貸付宅地等」は注意が必要です!
平成30年度税制改正により、貸付事業用宅地等の特例の見直しが行われました。
平成30年(2018年)4月1日以後の相続または遺贈により取得した宅地等については、その相続の開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等(これを「3年以内貸付宅地等」といいます。以下同じです。)に該当する場合には、この特例対象から除かれることとなりました。
ただし、経過措置として、令和3年(2021年)3月31日までの相続等については、平成30年(2018年)3月31日時点で貸付事業の用に供されている宅地等であれば、「3年以内貸付宅地等」に該当しないものとしてこの特例の適用を受けることができます。
貸付事業等宅地等の特例 適用のフローチャート
※生計を一にする親族とは
「生計を一にする」(国税庁HPより)
日常の生活の資を共にすることをいいます。
会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、
① 生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているとき
② 日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているとき
は、「生計を一にする」のもとして取り扱われます。
つまり、「生計を一にする親族」とは、簡単に言えば「家計の財布が一つの親族」であるということです。
この「生計一」の定義は、相続税の関連法や通達に規定されているものではなく、所得税の通達に規定されているものを借用しています。
所得税法基本通達2-47(生計を一にするの意義) 法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による (1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、 (2) 親族が同一の家屋に起居してしる場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。 |
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上記(2)にある「明らかに互いに独立した生活」とは、実務上は次の項目を総合的に勘案して判断します。
・住民票の世帯が別になっている
・建物の所有者と居住している人が別の場合には家賃で精算している
・食費を別に管理し、食事は別でとっている
・水道光熱費は各々支払っている
・資産や収入を独自に管理、処分している
・その他対外的に世帯を別にしていることが明らかにされている
確実に適用を受けるためにも無料相談をご活用ください!
小規模宅地等の特例は、被相続人だけでなく被相続人と生計を一にしていた親族が使っていた宅地等を相続した場合にも適用できる制度です。
要件も様々ですし、生計一の判断も難しいケースがよくみられます。
自分では小規模宅地等の特例が適用できると判断して申告しても、税務調査で否認を受ける場合があります。
確実に適用を受けるためにも、相続税専門の税理士に相談することをお薦めします。
当相談室の相続税に関するサポート内容
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