被相続人が貸家の敷地を賃借していた場合の土地の評価
土地を借りて建物を建てている場合、土地賃借人側もその土地の借地権を相続財産に計上する必要があります。また、建物を他人に賃貸している場合には、借地権の評価額から借家人の有する権利部分を控除できます。
事例紹介
私の父(C)はAさんに毎月5万円を支払って土地を借りておりました。
先月父が亡くなり相続手続きを行っていたところ、相続税申告書を作成する際には、
借りていた土地の借地権も相続財産に計上しなければならないと聞きました。
この場合、借地権の評価はどのようにすればよいのでしょうか?
父が借りていたAさんの土地の上には、父が建てた建物(貸家)があり、Bさんが居住しています。
ワンポイントアドバイス
借りた土地の上に建物を有している場合には、借地権を所有していることになり、相続財産となります。
その建物が貸家の場合には、その借地は「貸家建付借地権」として評価することになります。
詳細解説
貸家の敷地の用に供されている借地権又は定期借地権を「貸家建付借地権」といいます。
「貸家建付借地権」の評価算式は以下のとおりとされています。
貸家建付借地権の評価額=借地権の価額-借地権の価額×借家権割合×賃貸割合
ご相談のケースが次の条件であった場合の、「貸家建付借地権」を評価してみましょう。
【条件】
①自用地としての評価額:5,000万円
②借地権割合: 60%
③借家権割合: 30%
④貸付割合 :100%
借地権の評価額=5,000万円×60%=3,000万円
貸家建付借地権の評価額=3,000万円-3,000万円×30%×100%=2,100万円
借地人(C)が土地所有者(A)から借りた土地の上に、家屋等を建築し、
他人(B)へ貸している場合、土地の使用収益権は借地人(C)が持ち、
所有権は土地の所有者(A)が持つことになります。
借地上の建物を他人へ貸している場合には、Cの借地権の評価をする上では、借家人の権利(借家権)部分が控除されますので、
建物を自分で使用している場合に比べて900万円低く評価されることになります。
土地の評価は複雑であり、様々なパターンがあります。
少しでも不安に思われる方はお気軽に当事務所へご相談ください。